シーケンス制御実験装置の外観は図のようになっている。
装置にはボタンスイッチ,トグルスイッチ,リレー,タイマ,ランプ,モータおよびリミットスイッチ,さらに電源線(24V,3V,GND)が備え付けられている。
それぞれの部品についての説明は以下で行うが,実験装置の図記号は一部が現在のJIS規格ではなく旧JIS規格にしたがっているため実験書の図記号と若干異なっている。
装置には3つのボタンスイッチが付けられている(図)。2つはa接点のスイッチであり,1つはb接点のスイッチである。
ボタンスイッチの接点は自動復帰接点であり,スイッチを押下している間のみスイッチが閉じる(または開く)ようになっている。
装置にはトグルスイッチが1つついている。トグルスイッチには残留機能付きのc接点がついている。
ここで図中の(4)に相当する端子は実験装置では端子の傍に目印として点が印刷されている。なお,端子の色は装置毎に異なるため,目印にはならない。
この装置にはリレー(電磁継電器)が7つ設置されている。そのうち,3つにはc接点が2組ずつ付いており,4つにはc接点が4組ずつ備え付けれている。
リレーの電磁コイルの端子が(1)であり,ここに24Vを印加することにより接点が動作する。電磁コイルのもう一方はGNDに予め接続されている。
リレーの接点は全てc接点であるが,c接点はa接点としてもb接点としても使用することができる。
リレーの電磁コイルに電圧が印化されると,接点が動作する。電磁コイルに電圧が印加されている状態では,リレー上部のLEDが点灯するようになっている(図参照)。
タイマ(限時継電器)はこの装置に2つ設置されている。それぞれのタイマには一つのc接点(一つのa接点と一つのb接点に相当)が付いている。
図にタイマの図記号と実験装置の関係を示す。
タイマの電磁コイルの端子が(1)であり,もう一方は予めGNDに接続されている。また,端子(4),(5)は内部で接続されている。
タイマでは制御回路に電圧が印加されて一定時間後に接点が動作する。そのため,動作時間の設定ダイアルとタイマの動作表示灯,接点の動作表示灯が設けられている(図参照)。
実験装置にはランプが4つ設置されている。ランプの一方の端子は予めGNDに接続されている(図参照)。端子(1)に24Vを印加することで点灯する。
モータとして3Vで動作する直流モータが備え付けられている。モータ関連の部品が図に示すように配置されている。
モータの回転軸には突起が設けられており,この突起が一定の位置に到達した場合に動作するリミットスイッチが付いている。
モータはリレーとは異なり3Vで動作するため,モータ用の電源端子が準備されている。モータを回転させるにはモータ端子の一方を3V電源端子へ,他方をGND端子に接続する。印加する電圧の極性を反転するとモータの回転方向が逆になる。
なお,3V端子もしくは24V端子とGND端子を短絡すると機器が故障するので絶対に行わないこと。
回路の配線を行うための線は端子の本数の異なる4種類が準備されている(図参照)。端子が1本ずつの線(図左上)では2箇所を接続することができ,端子が1本-2本では3箇所,端子が1本-3本では4箇所,端子が1本-4本では5箇所を接続することができる。
線材としては同時に5箇所までを接続できるものが準備されているが,本数の関係で不足する場合がある。また,線材の長さが不足することもある。
そこで,配線を中継するための端子がリレーとリレーの間に設けられている(図参照)。2つの端子があるが,これらは内部で接続されており,中継点として利用できる。
この装置は交流100Vで動作する。
電源を投入するためには,まず装置背面の電源ケーブルを実験台のコンセントに接続する。続いて,装置の電源を入れるに前面のトグルスイッチを上側に動かす。するとパイロットランプが点灯する(図参照)。
電源を切るときには,装置前面のトグルスイッチを下側に動かす。するとパイロットランプが消灯する。
装置を片付けるときは,電源ケーブルをコンセントから抜き,装置背面に収納する。
簡単な例として自己保持回路を作成してみる(図参照)
自己保持回路の回路図より24VからGNDまでどのような経路で配線されているかをまとめると次の図のようになる。
装置上に配線経路を描くと次の図のようになる。
なお,GNDは予め装置内で配線されているので接続する必要はない。
赤と緑で示されている経路には片側に端子が1つづつ付いている配線が合計4本必要である。青で示されている経路では, R1に二箇所から接続されるため,一方の端子が1つで他方に2つ端子のある配線が必要である。
実際に配線した図を以下に示す(図参照)。
配線結果の図よりわかるように,自己保持回路のように単純な回路でも装置上に配線するとかなり見づらくなる.したがって,配線するときには回路図のどこを配線しているのかをしっかりと把握して行わなければならない。
先程の配線では図の赤の部分を片側に端子が1つづつ付いている線材3本を使用したが,赤で示されている部分の一方は24V電源端子に接続されるため次の図のようにも配線できる。
この図のように配線した場合には赤の部分は一方が端子1つ他方が端子3つの線材1本で配線できる。
回路を作成し,電源を投入すると,「ブーッ」というブザーのような音がする場合がある。この場合は次の図のような回路が構成されている。
このような回路では,以下のような機構により接点の開閉が繰り返される。
したがって,電源投入と同時にブザーのような音がする場合は,リレーの電磁コイルと同じリレーのb接点が電源に直列に接続されていないかを確認すれば良い。