シーケンス制御実験装置の使用方法

 

目次

1 装置の構成

1.1 装置の外観

シーケンス制御実験装置の外観はのようになっている。

図 1 シーケンス制御実験装置の外観

装置にはボタンスイッチ,トグルスイッチ,リレー,タイマ,ランプ,モータおよびリミットスイッチ,さらに電源線(24V3VGND)が備え付けられている。

それぞれの部品についての説明は以下で行うが,実験装置の図記号は一部が現在のJIS規格ではなく旧JIS規格にしたがっているため実験書の図記号と若干異なっている。

1.2 ボタンスイッチ

装置には3つのボタンスイッチが付けられている()2つはa接点のスイッチであり,1つはb接点のスイッチである。

ボタンスイッチの接点は自動復帰接点であり,スイッチを押下している間のみスイッチが閉じる(または開く)ようになっている。

図 2 手動操作スイッチの図記号と実験装置のボタンスイッチの関係

1.3 トグルスイッチ

装置にはトグルスイッチが1つついている。トグルスイッチには残留機能付きのc接点がついている。

ここで中の(4)に相当する端子は実験装置では端子の傍に目印として点が印刷されている。なお,端子の色は装置毎に異なるため,目印にはならない。

図 3 手動操作スイッチの図記号と実験装置のトグルスイッチの関係

1.4 リレー

この装置にはリレー(電磁継電器)7つ設置されている。そのうち,3つにはc接点が2組ずつ付いており,4つにはc接点が4組ずつ備え付けれている。

リレーの電磁コイルの端子が(1)であり,ここに24Vを印加することにより接点が動作する。電磁コイルのもう一方はGNDに予め接続されている。

図 4 実験装置のリレーと回路図の関係

リレーの接点は全てc接点であるが,c接点はa接点としてもb接点としても使用することができる。

リレーの電磁コイルに電圧が印化されると,接点が動作する。電磁コイルに電圧が印加されている状態では,リレー上部のLEDが点灯するようになっている(参照)

図 5 リレーの動作表示灯

1.5 タイマ

タイマ(限時継電器)はこの装置に2つ設置されている。それぞれのタイマには一つのc接点(一つのa接点と一つのb接点に相当)が付いている。

にタイマの図記号と実験装置の関係を示す。

図 6 実験装置のタイマと回路図の関係

タイマの電磁コイルの端子が(1)であり,もう一方は予めGNDに接続されている。また,端子(4)(5)は内部で接続されている。

タイマでは制御回路に電圧が印加されて一定時間後に接点が動作する。そのため,動作時間の設定ダイアルとタイマの動作表示灯,接点の動作表示灯が設けられている(参照)

図 7 タイマの動作時間設定および動作表示灯

1.6 ランプ

実験装置にはランプが4つ設置されている。ランプの一方の端子は予めGNDに接続されている(参照)。端子(1)24Vを印加することで点灯する。

図 8 ランプの図記号と実験装置のランプ

1.7 モータ関連

モータとして3Vで動作する直流モータが備え付けられている。モータ関連の部品がに示すように配置されている。

モータの回転軸には突起が設けられており,この突起が一定の位置に到達した場合に動作するリミットスイッチが付いている。

モータはリレーとは異なり3Vで動作するため,モータ用の電源端子が準備されている。モータを回転させるにはモータ端子の一方を3V電源端子へ,他方をGND端子に接続する。印加する電圧の極性を反転するとモータの回転方向が逆になる。

図 9 実験装置のモータ関連部分と回路図の対応

なお,3V端子もしくは24V端子とGND端子を短絡すると機器が故障するので絶対に行わないこと。

1.8 線材

回路の配線を行うための線は端子の本数の異なる4種類が準備されている(参照)。端子が1本ずつの線(図左上)では2箇所を接続することができ,端子が1-2本では3箇所,端子が1-3本では4箇所,端子が1-4本では5箇所を接続することができる。

図 10 線材

1.9 配線中継点

線材としては同時に5箇所までを接続できるものが準備されているが,本数の関係で不足する場合がある。また,線材の長さが不足することもある。

そこで,配線を中継するための端子がリレーとリレーの間に設けられている(参照)2つの端子があるが,これらは内部で接続されており,中継点として利用できる。

図 11 配線中継点

2 装置の使用方法

2.1 電源の操作

この装置は交流100Vで動作する。

電源を投入するためには,まず装置背面の電源ケーブルを実験台のコンセントに接続する。続いて,装置の電源を入れるに前面のトグルスイッチを上側に動かす。するとパイロットランプが点灯する(参照)

図 12 電源スイッチ

電源を切るときには,装置前面のトグルスイッチを下側に動かす。するとパイロットランプが消灯する。

装置を片付けるときは,電源ケーブルをコンセントから抜き,装置背面に収納する。

2.2 自己保持回路の作成

簡単な例として自己保持回路を作成してみる(参照)

図 13 自己保持回路の回路図

自己保持回路の回路図より24VからGNDまでどのような経路で配線されているかをまとめると次の図のようになる。

図 14 自己保持回路の配線経路

装置上に配線経路を描くと次の図のようになる。

図 15 自己保持回路の配線案1

なお,GNDは予め装置内で配線されているので接続する必要はない。

赤と緑で示されている経路には片側に端子が1つづつ付いている配線が合計4本必要である。青で示されている経路では, R1に二箇所から接続されるため,一方の端子が1つで他方に2つ端子のある配線が必要である。

実際に配線した図を以下に示す(参照)

図 16 自己保持回路の配線結果

配線結果の図よりわかるように,自己保持回路のように単純な回路でも装置上に配線するとかなり見づらくなる.したがって,配線するときには回路図のどこを配線しているのかをしっかりと把握して行わなければならない。

先程の配線ではの赤の部分を片側に端子が1つづつ付いている線材3本を使用したが,赤で示されている部分の一方は24V電源端子に接続されるため次の図のようにも配線できる。

図 17 自己保持回路の配線案2

この図のように配線した場合には赤の部分は一方が端子1つ他方が端子3つの線材1本で配線できる。

2.3 電源オンとともに音が鳴る場合

回路を作成し,電源を投入すると,「ブーッ」というブザーのような音がする場合がある。この場合は次の図のような回路が構成されている。

図 18 音が鳴る場合の回路

このような回路では,以下のような機構により接点の開閉が繰り返される。

  1. 初期状態では接点R1-bが閉じているため,リレーR1に通電する
  2. リレーR1の通電により接点R1-bが開く
  3. 接点R1-bが開くことによりリレーR1への通電が停止する
  4. R1への通電が停止することにより接点R1-bが閉じる
  5. 接点R1-bが閉じることによりリレーR1に通電する
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したがって,電源投入と同時にブザーのような音がする場合は,リレーの電磁コイルと同じリレーのb接点が電源に直列に接続されていないかを確認すれば良い。