土木学会インフラマネジメント技術国際展開研究助成の中間報告を行いました

2020年7月8日,土木学会インフラマネジメント技術国際展開研究助成の中間報告を行いました.

土木学会インフラマネジメント新技術適用推進委員会・国際展開小委員会では,道路,橋梁,周辺地盤などの社会基盤構造物の維持管理に関する技術や制度の国際展開を目的にしており,その活動のひとつとして,日本で開発された計測や評価,補修補強に関する技術を海外の構造物に適用する活動に対して研究助成を行い,日本の優れた技術が海外展開される機会を創出するとともに,日本の特に若手研究者が海外で実践的な研究活動を経験することを支援しています.琉球大学では,「過酷な塩害環境の沖縄で開発された鋼橋ボルト継手部の腐食防食技術の国際展開(研究代表者:下里哲弘)」のテーマで本研究助成に採択されています.

沖縄地区は高温多湿環境下にあり,鋼材にとって厳しい腐食環境条件にあります.また,台風の常襲地域で,海塩粒子の飛来量が多く,鋼材腐食が促進される地域でもあり,こうした亜熱帯島しょ地域は,鋼橋塗装の長寿命化対策が強く求めらています.特にボルト接合部は,鋼橋の腐食弱点部であり,この対策技術について琉球大学でも数多くの研究が行われ,その成果が「沖縄地区鋼橋防食マニュアル」にまとめられています.

本研究助成では,この「沖縄地区鋼橋防食マニュアル」に記載されている「低温低圧型金属溶射(コールドスプレー技術)」及び「透明型の防せいキャップ」について,沖縄と同様に高温多湿環境下にあるフィリピンにおいて,その防食性能の検証を行うものです.

フィリピンのDepartment of Public Works and Highways(DPWH)のBureau of Maintenanceと連携し,マニラ近郊の橋梁を対象に腐食環境調査を2020年2月にスタートしました.今後も継続して調査を行い,フィリピンの腐食環境と沖縄発の防食技術の適用性について評価を行う予定です.

中間報告では,今後の継続的な調査体制の構築などについて意見交換が行われ,JICA道路アセットマネジメントプラットフォームの活動の一環として琉球大学大学院に長期研修中のVincent氏(DPWH職員)と連携して体制を構築することを確認しました.

中間発表に用いた資料の概要は以下よりご覧ください.

中間報告概要

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